あの日の100万円

 

言葉にすると なんてありふれていて 陳腐なんだろう 。

と思うことがたくさんある。 泣いて泣いて悲しかった出来事もたくさん笑って面白かったことも嬉しかったことも、誰かを思う心境も、気持ちの大きさとは相反して言葉にするとちっぽけで短い。 

 

ふと、幼い自分があの日100万円をカバンに忍ばせて、隠れるようにして急いで家に帰ったことを思い出した。銀行のATMで大金をおろすことはまるで悪いことをしているみたいだった。 でもやらなきゃいけなくて、走って銀行に行って、逃げるように帰ってきた。

100万円なんて生きてりゃすぐ消えていく。生きてるだけで、消えていく。稼ぐことは労力がいるし大変なのに、消費するのは一瞬だ。 私たち、生きているだけでお金がかかるのね  なんてわかったふりをして、今日も「しょうがないね」ってつぶやく。