おひめさまに見えた

 

 

スーツを着たサラリーマンがしゃがみこんで、エメラルドグリーンのワンピースを着た小さな女の子と一緒に絵本を選んでいた。  お父さんと娘のごく普通な絵面なんだけれど、やけに体内に響いて 退勤ラッシュの人の波に逆らって歩いてたら泣けてきた。 首を90度に折って真下を向いて歩いたからきっと バレてはいないね。 膝によったスーツの皺が、日に焼けた細い腕が愛しいね。お姫様だったね 君も私も、みんなきっと。